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VRは人生で2回目の「万華鏡」であった|AWAYLOUNGE×Colopl VRイベント

July 14, 2021

まだ11月ではあったが半世紀ぶりに東京でも積雪を観測したらしい。寒さが肌を刺してくる。

恵比寿に降り立った私の顔は上気していた。初冬の宵の口。あたりが暗くなるのとは対照的に、期待を膨らませていた。今日はコロプラ本社でVR(virtual reality)の体験会がある。

「恵比寿ガーデンプレイス」。たどり着いた途端に、むず痒さを感じた。この浮ついた空気はなんだろうか。気の早いイルミネーションに歓声をあげるカップルで溢れている。寒さと相まって早くここから抜け出したかった私は、主催者が待つであろうカフェへ足を早めた。

恵比寿ガーデンプレイスのイルミネーション
恵比寿ガーデンプレイスのイルミネーション

カフェに入ってすぐに彼が目に入った。彼に会うのは二回目。親しみやすい笑顔を浮かべていた。軽くあいさつを交わした。

ぽつぽつと人が現れ始めたので、会場である11階にエレベータで上がって行った。
エレベーターを降りると、株式会社コロプラ(以下コロプラ)のキャラクターである「クマ」のロゴが目に入った。しばしそこで待つ。集まったのは10人ほどだった。

Geekな会場と寿司

Geekな会場だった。会場は薄暗かった。用意されていたスクリーンは黒色の背景で、まるでターミナルのようだった。四方にセンサーのある領域があり、そこにパソコンも設置されていた。何かのシミュレーション設備のようだ。

その光景とは対極的な粋な計らいがあった。「ピザと寿司」である。常に腹を空かせている大学生 ー特に男子ー はそこに食いついていった。

用意されていたドミノピザ
用意されていたドミノピザ
用意されていたお寿司
用意されていたお寿司

しかし私の意識はそこにない。
少し離れた机の上に鎮座している、本日の「メインディッシュ」に向かっていく。

そう、お待ちかねのVRだ。

HTC VIVE
HTC VIVE

淡く光るスクリーン下に眼を向ける。パソコンから繋がる無数の配線の先。
ハイエンドVRである「HTC VIVE」がそこにあった。

童心を感じさせる参加者

最初に用意されていたのは深海を体験できるゲームだ。
参加者の一人が恐る恐るデバイスに頭を通した。彼の表情は口から下しか読み取ることができない。だが、ゲームを始めてすぐに、下半分しか見れない彼の顔はゲームを楽しんでいることを物語っていた。

他にもゲームは豊富にあった。参加者たちは戦闘ゲームやシューティングゲーム、リズムゲームを、まるで子供がおもちゃを奪いあうようにプレイしていく。

担当の上田さんが参加者の好き勝手な発言をうまくいなして進行していた。

そして、ついに、待ちくたびれた私にも順番が回ってきた。

私がプレイすることになるのは独特の世界観で一世を風靡したスターウォーズ。時代設定がはるか昔ということや黒澤明映画に強い影響を受けていることを知っている人はあまりいないであろう。

デバイスをかぶり、緊張と期待でほのかに汗ばんだ手でコントローラーを握りゲームが始まるのを待った。

ゲームが始まるとともにスターウォーズのオープンロールが自分に向かって流れてきた。ただの映像とはわかっていながらも迫力のあまりおもわず後ずさりしてしまう。

それもつかの間。瞬きした次の瞬間には私は砂漠に一人立っていた。恐る恐る足を前に出せば映像の中の自分も動く。この小さなデバイスの中には間違いなく宇宙が存在していた。

ミレニアムファルコンが登場
ミレニアムファルコンが登場

そんなキザことを考えているうちに武士の鎧にインスパイアードされたストームトルーパーがおそってきた。気がつくと右手には青く光るライトセーバーが握られている。

レーザーの銃弾が飛びかかってくる。短い人生ながらそこそこ多くのことを経験してきたと自負してはいるが、もちろん銃弾をライトセーバーで打ち返す経験はない。

苦戦する筆者
苦戦する筆者

思ったより苦戦した。

ゲームはデモ版だったのでプレイもそこそこに終わってしまったが、短いなりにも濃いスターウォーズの世界観を大いに体感できた。

VRの高揚

まず、率直な感想だが、VRは僕にとって人生で2回目の「万華鏡」であった。

私が万華鏡に取り込まれたのはおそらく小学校に上がるより以前だ。何の変哲もない筒を友達が歓声を挙げながら覗き込んでいた。実際に覗き込んでみればそこには私の知らない世界が写りこんでいる。顔を傾ければ筒の中の紙も動き一秒ごとに景色が変わってしまう。その、覗いたものにしか与えられないであろう高揚感をVRは僕に与えてくれた。

そして、これからは、ウィードでもなく、宗教でもなく、学生運動でもなく人間はVRのとりこになってしまうだろう。VRはVirtual Realityではあるが、VS Realityになってしまうぐらいのrealityをもっている。近い将来パラレルワールドに飲み込まれてしまう人が出てきてしまうかもしれない。そう思えるくらいの未来をVRはその小さなボディに内包していた。